肥満細胞腫

体に異物が侵入した時に、ヒスタミンやヘパリンといった物質をつくり、アレルギー反応と炎症反応を引き起こすきっかけをつくる細胞のことを肥満細胞と呼びます。肥満細胞腫はこの細胞が腫瘍化したもので、犬の場合、皮膚腫瘍全体の16~21%を占めています。腫瘍の悪性度が高い場合はリンパ節や肝臓、脾 臓などへ転移しやすく、簡単な切除では、再発・転移を繰り返し、予後も良くない厄介な腫瘍です。

 

症状

犬の肥満細胞腫の約90%が皮膚に発生します。発生部位は、体幹や会陰部の皮膚・皮下織が50%、四肢の皮膚・皮下織が40%、頭頸部の皮膚・皮下織が10%です。腫瘍は直径1~10cmと、大きさも形状も多様な腫瘤として出現します。

肥満細胞腫は様々な外見を持つため、見た目から腫瘍の種類や悪性度を判断することは困難ですが、比較的悪性度が低いがん(高分化)は、直径1~4cmの弾力のある腫瘍で表面に毛のないものが多いようです。

それに対し、悪性度が高く進行の早いがん(未分化)は、

腫瘍が大きめで表面に潰瘍がある

  • 自傷により出血が見られる
  • 周囲が赤く腫れる
  • ぶよぶよしている
  • ひどい皮膚炎を起こしているように見える

といった特徴があるようです。

また、皮下にできた肥満細胞腫は、脂肪腫などと間違われやすいです。肥満細胞腫は、そのものの病害(ガン)だけでなく、副腫瘍症候群といって肥満細胞が異常に増殖し脱顆粒を起こすことで、ダリエール症状(腫瘤の血管通過性の増大による赤斑や膨疹、浮腫などの炎症症状)、胃十二指腸潰瘍、血液凝固異常、創傷治癒の遅延、アナフィラキーショックなどを引き起こして命を落とすことが多いという特徴をもちます。

原因

肥満細胞腫の原因ははっきりとはわかっていません。発生に性差はなく、高齢犬に多く発生します。平均発症年齢は9歳ですが、6ヶ月の症例もあり、犬種による素因も考えられています。また、発症の要因として、慢性的な炎症の関係していると言われています。